私的編纂「世界の厳選図書」
このところ「世界の厳選図書」を編んでいた。
ヘミングウエイ「老人と海」から与謝野晶子まで、総数172編。中でも私のよく好むところは、エミール・ゾラ、坂口安吾、西行法師、与謝蕪村、若山牧水、四書五経、与謝野晶子らである。
「願はくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月のころ」(西行)
「心なき身にもあはれはしられけり鴫立つ沢の秋の夕ぐれ」(西行)
「幾山河越えさり行かば寂しさの終てなむ国ぞ今日も旅ゆく」(若山牧水)
「白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」(若山牧水)
「月天心貧しき町を通りけり」(蕪村)
「牡丹散りて打ちかさなりぬ二三片」(蕪村)
そうして「四書五経」である。古来、我々の祖先は「東洋古典」を読むことで自らを高めて来た。その東洋古典の代表的なものが「四書五経」である。四書の中に「大学」という書物がある。薪を背負って本を開く、かの”二宮金次郎”手にする書物こそこの「大学」なのだそうである。
とりわけ大好きなのが、与謝野晶子である。
「岩の群れおごれど阻む力なし矢を射つつゆく若き利根川」(昭和7年水上温泉)
堺の町のあきびとの/旧家を誇るあるじにて/親の名を継ぐ君なれば/
君死にたもうことなかれ/旅順の城は滅ぶとも/滅びずとても何事ぞ/
君はしらじなあきびとの/家のおきてになかりけり/
君死にたもうことなかれ/すめらみことは戦いに/おおみずからは出でまさね/
かたみに人の血をながし/獣の道に死ねよとは/死ぬるを人のほまれとは/
大みこころの深ければ/もとよりいかで思(おぼ)されん/
与謝野晶子である。