おススメ!2大名著「現代語訳『暗黒日記』」、『戦争の大問題』

 首記の図書はそれぞれ、伊藤忠商事で社長、会長を務められ、2010年に民間出身で初の中国大使を務められた丹羽宇一郎氏の著作である。
「現代語訳『暗黒日記』」は、「東洋経済新報」や「中央公論」などで軍国主義を貫いた外交・政治評論家でジャーナリストの清沢 冽(きよし)の著作「暗黒日記」に丹羽氏が編集・解説を加えた現代語訳である。

巻頭に
大東亜戦争は非常なる興亡の大戦争である。
筆を持つ者が、後世のために、何らかの筆跡を残すことは、その義務である。
すなわち書いたことのない日記をここに始める。
将来、大東亜外交史の資料とするためである。
神よ、日本を救え。

昭和18年(1943年)10月1日
清沢 冽

とある。

①努めて戦争に近づかないように注意深く行動
②強力すぎる武器を持たないよう自戒
③戦争に近づけば動物の血が騒ぐ
④強力な武器を持てば必ず使ってみたくなる。


76年前に清沢が嘆いた「権限と責任をあいまいにする日本人」は、戦後76年を経てなお変わらない姿であり、これからも大きく変わることは難しいと、しっかり心に刻みたいー


国際問題を自由・平等と平和で解決してこそ、日本が「世界一」と本当に胸を張って誇れる国になるのだー


・誰がどういう権限で開戦を決定したのか?
・果たして、その責任はどうなったのか?
・蛮力が国家を偉大にするというような考え方を捨て、叡智のみがこの国を救うものであるー


・強力な武器を持たないこと。
・戦争に近づかないこと。
・人間の獣性を自覚すること。


満州事変は天皇の裁可を得ずに軍を動かして実行されたー天皇の大権を侵した責任は誰にー


・軍人を抑える政治家がいなかったー
・軍人を抑え得る軍人がいなかったー



昭和19年6月、マリアナ沖海戦で日本軍敗北、日本海軍に、マリアナ諸島を奪われた後の作戦がなかったのはなぜか?負けるとわかっている戦争を誰が続けると
決めたのか?



・今日のメディアの従事者には・・・真実を追求する使命感と、それを可能にするリベラルアーツ(一般常識=人文科学、社会科学、自然科学の基礎分野を横断的に教育する)が常識のはずであるー


・戦争末期の1年間で、200万人を超える犠牲者を生んだというー太平洋戦争の期間は3年8ヶ月である。2年8ヶ月で止めていれば、200万の国民が死なずに済んだのである。



2冊目は「戦争の大問題」である。
巻頭に・・・
戦争を知っている世代が政治の中枢にいるうちは心配ない。
平和について議論する必要もない。

丹羽氏は、


戦争をなくすために大事なことは
まず戦争を知ることである、
と。

 

 日本人は72年間戦争をせずにきたが、
同時に長い間戦争を知ろうとせずに過ごしてきた。
あと10年もすれば
戦争を知っている世代はいなくなるだろう。
我々は戦争の語り部を失ってしまうのだ。

いまが最後のチャンスである。

 と呼びかけているのだが、そう呼びかけた同書の第1刷発行は2017年8月である。
すでに5年が経過しようとしている。
 そして今、図らずも「ウクライナ戦争」の最中である。
戦場の報道風景からは、果たして現場の肌感覚をどの程度共有しうるだろうか?


どのような読後感を抱くのも、また哲学の行使も、個人それぞれのものであるが、


丹羽氏は、日本は特別な国であれ、と・・・

 

 日本は世界の中で普通の国を目指すべきではない。日本が目指すべきは世界中から尊敬される国である。尊敬される国とは世界を屈服させる強国ではない
・・・平和的手段で問題を解決する・・・
当たり前のことが当たり前にできる国が「特別な国」なのである、と結んでいる。


これは私の持論だが、
「世界唯一の核被爆国」という実体験の故を以て、
日本は特別な国になるべき宿命を背負っているのだと思う。


昭和19年(1944年)6月のマリアナ沖海戦以後に、200万の日本人が死んでいます。あの段階で
戦争を止めていれば東京大空襲はなかった、沖縄戦もなかった、広島、長崎の原爆投下もなかったのです・・・」とは、
日本遺族会会長(元衆議院議員)の古賀誠氏の言葉だそうである。

連絡先: yonaosikozo@yahoo.co.jp


本業2本立て、プラスWEBで夢かなう。


さあ、「時代の」へ。