戦史と世相ーシリーズ①「夢は満蒙開拓へ」【昭和4年(1929年)~昭和10年(1935年)】

関東大震災からの復興 関東大震災からの復興、恐慌による莫大な負債が日本経済を圧迫、農村や零細企業が疲弊。その長引く不況のなかで、希望は満州への移民に委ねられていった。

 柳条湖事件に端を発し、関東軍は5ヶ月で、中国東北部満州)全土の占領し、満州国建国に至る。その結果、日本は国際連盟から脱退し、孤立の道を辿ることになるのだが。

 さかのぼる6年前の1923年(大正12年)9月1日大地震が発生、いわゆる「関東大震災」である。

 建物10万棟が全壊、20万棟以上が全焼、死者・行方不明者は10万人を超えたといわれる。当時の政府は東京市街地の大改造を試みることになる。

 加えて、昭和4年1929年の世界大恐慌である。こうした世相の中で、日本は資源の豊かな海外に活路を求めるべく、とりわけ満州への移民を国民に呼びかけることになる。

 明日から、満州国に王道楽土を夢見た人々を軸に、当時の世相を探っていくことにする。内外にまたがるいくつもの出来事に迫ってみたい。(了)